夏みかん狩り
家の前の緑道に一本の夏みかんの木がある。
その実は本来の夏みかんほど酸っぱくはなく、ほんのり甘みを含んでいる。
口に含むと、じゅわっと広がる果汁。
どこか懐かしい味がする。
酸味が苦手な私は、薄皮を丁寧に剥き、砂糖を軽くまぶして食べるのが好きだ。甘みと酸味のバランスがちょうどよくなり、なんとも言えず美味しい。

もしかすると、何かの掛け合わせなのかもしれない。
なんて想像している。
この木の実は、毎年ご近所のご主人が頃合いを見て収穫し、近所に配ってくれていた。
けれど、そのご主人は昨年の晩秋に亡くなられた。
とても頼りがいのある方だった。
朝早くから自宅前の道を掃き清め、さらに四軒先の通りまでを毎日のように掃除してくれていた。
鬱蒼とした緑道の剪定までしてくれるような、まるで町の世話役のような存在だった。
今年は誰も収穫する人がいない。ならば、私がやってみよう。
長い枝切り鋏を手に、いざ挑戦。
しかし、これがなかなか難しい。
狙った枝に鋏がうまく届かないし、思ったように切れない。
見ていると簡単そうに思えたのに、いざ自分でやってみると勝手が違う。
もどかしさを感じつつ、何度か挑戦するうちにコツがつかめてきた。
慣れてくると楽しい。
けれど、今年は実の数が少なく、収穫はあっという間に終わってしまった。
それでも、夏みかん狩りは、想像以上に面白かった。
来年は、もっとたくさん実をつけてくれるだろうか。
そう思うと、今からすでに楽しみで仕方がない。


背のあまり高くない(低いと素直に言いたくなかった笑)私なので上の方は届かなくて取れなかった。